東芝がAndroid 3.0を搭載した新型タブレットを販売することを発表した。しかし、東芝製のタブレット製品は決して買わないだろう。何故か、それは製品サポートの継続性に疑問があるからです。これは、何も東芝に限ったことではなく、多くのハードウェアメーカーに共通に見られる問題点です。
今重要なコンセプトはサステナビリティーです。持続可能性と日本語に訳されているこの概念は、人間の活動あるいは地球生態系の維持の継続性を意味している。これは環境だけではなく、製品や会社のサービスについても問われるべき問題です。
ユーザーは一度購入した製品を出来る限り長く使うことで経費や製造に使われた労力、経済的付加価値を別の形にして、製品から恩恵を受ける。その生み出す価値が、製造に使われたエネルギーや価値よりも低いときに、製品としての価値がないと位置づけるのです。
製品が生み出す価値は、便利さとその継続利用時間との積(掛け算)で評価されます。ある程度の周期で新しい製品が出ることは仕方がないことかもしれません。しかし、製造された製品が、その価値を生み出す前に使われなくなることは、お金の無駄だけではなく、資源やエネルギーの無駄使いになるのです。結果として地球環境を破壊するだけでなく、無駄な廃棄物を出すことになります。
製品を開発すると同時に、その製品を長く使えるよう旧製品においてもアップデートを続け、ユーザーに継続利用できる環境を提供することは企業の使命です。常に新しい製品を世の中に出し、売れなければ次の製品、さらに次の製品と戦略も脈略もなく製品を「売り捨てる:」企業の製品を我々は買わなくなるでしょう。
コンピューターやスマートフォンを含む携帯電話等は最低でも2年、できれば3から5年は活用されるべき製品だと考えます。そのためには、旧製品への機能の付加や最新ソフトウェアへのアップデート等が継続的に行われるべきです。
私がなぜ東芝の新型タブレットが出たとしても買わないというのかといえば、東芝の製品でそのようなサポートが行われず、実装した機能も関連サービスが短期で終了、機能はあるのにサービスが行われない。製品は次々に新しい発展を遂げ、過去の物とは全く互換性もなく、売り捨てられた製品を買った過去があるからです。
なぜこのようなことになるか、お分かりですよね。場当たり的にその時点の新機能を詰め込んだ売れると思われる商品を製品化し、次々に機能や性能だけを追求していくからです。そのため、個々の製品は単発で、売れなければ次の製品へ、次の製品へと移り変わっていくのです。その製品には社運がかかっているわけでもなく、製品にかける意気込みも短期のものです。次から次へと開発する余力もあり、その製品に拘らなくても良いのです。
そのような製品との比較の対象として、iPhoneやiPodを考えて見ましょう。これらの製品にはある意味、会社の運命をかけています。iPhoneが売れなくなれば、会社の柱を失います。iPadも大きな柱になりつつあり、一つの製品に会社の収益の大きな部分が左右されます。
このことは、一つのサービスで継続的に顧客満足度をあげて、継続的に売り続ける必要があるということです。一度ユーザーとなってくれた顧客には、その製品の寿命まで充分に製品を活用してもらい、機能的にこれ以上の技術進歩に対応できなくなった時点で、次の発展型の製品へ移行してもらうというサービスです。iPhoneなら、2年から4年のサイクルで買換えながら、継続利用してもらうということです。そして、古い製品にもアップデートによって、可能な限り最新機能を利用してもらうための努力をする。
これは、ホテルや旅館などのリピーター確保の戦略と同じです。顧客に単発の製品ではなく継続的なサービスを購入していただく。そのためには、製品を差別化できるコンセプトとサービスを有するようなものに育て上げる努力が常に必要です。そのような努力もなしに、センサーや表示装置など、そのときに入手できる機能を組み合わせて最新機能をもった製品を単発で出しても、その継続利用性が期待できなければ製品の価値に大きな差が出ます。購入しても、わずか数ヵ月後には購入したことを後悔さすることになってしまうのです。
我々ユーザーは製品を買うのではなく、便利さと同時に継続的なサービスを購入するのです。繰り返しになりますが、そのサービスは、先にも書いたとおり、便利さと同時に、利用できる時間との積で決まるのです。これは、消費者は一時的にどんなに進んだ性能であったとしても、上記のような持続的なサービスが期待できない会社の製品は買いませんということです。
製品のサステナビリティーが、商品の価値を決める。これからの社会では、それが、製品を購入するかどうかの基準になっていくということです。
消費者の財布の紐は固くなっています。その代わり、少しぐらい高くても、満足できる良いものを長く使うという価値観が主流になります。その基準は、これまでの製品サイクルの実績や、継続的サポートの状況から見て取れるということです。そのような実績を持っていない会社の製品は受け入れられなくなっていきます。
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